動物園・水族館のクラウドファンディングと寄付|5つの支援事例
魚津・桂浜・加茂水族館、市原ぞうの国、のとじま水族館の支援事例を紹介。クラウドファンディングと災害見舞金の違いを分け、募集結果、飼育環境の整備、再開までの経過を公式報告で確認します。
執筆 ペレログ編集部

目次
動物園・水族館のクラウドファンディングは、水槽や獣舎の修繕、休館中の飼育などを支えてきました。集まった金額に加え、その後の工事や公開の報告を読むと、支援が生きものの暮らしへどう届いたかが見えます。
魚津水族館、桂浜水族館、市原ぞうの国、加茂水族館の終了した募集を紹介し、別の支援方法として、のとじま水族館への災害見舞金も取り上げます。情報は2026年9月9日に公式の募集ページと報告で確認しました。

魚津水族館には3,613万円が集まった
富山県魚津市の魚津水族館は、日本に現存する水族館で最も長い歴史を持ちます。 現在の建物は1981年に開館した3代目で、富山湾の魚を中心に展示してきました。
長く使ってきた施設には、補修が必要な場所が増えています。 そこで魚津市と水族館は、施設と設備の整備に使うふるさと納税型クラウドファンディングを実施しました。
募集期間は2024年11月1日~2025年1月30日でした。魚津水族館の2025年1月31日付発表では、1,398人から3,613万5,540円が集まり、目標2,000万円を上回ったとしています。ふるさとチョイスの現行ページには3,613万540円・1,397人とあり数値に差があるため、ここでは同館発表の数値を掲載します。
企画の呼びかけに使われた言葉は「古くてボロいが日本一」でした。 古さを隠さず、歴史の長さと修繕の必要性を同じ言葉で伝えたところに、この館らしさがあります。
水族館は寄付を施設・設備の整備に使うと説明し、募集終了後の2025年2月に水槽等の補修工事を行う休館期間を設けました。ただし、2025年3月の御礼でも富山湾大水槽などの修繕に活用する方針が示されており、この募集で予定した整備がすべて完了したとは断定できません。使途の説明と、その後の個別工事の報告を併せて読む事例です。
外部リンク
魚津水族館|2025年1月の募集終了報告
施設または実施主体による支援と活動の公式情報。
www.uozu-aquarium.jp / 外部サイトへ移動します
この記事の5施設は「行きたい」に保存できます。訪れたらアプリでスタンプが押せます。
桂浜水族館はカワウソ舎をつくり直した
高知市の桂浜水族館は、築40年ほどになったカワウソ舎の改修を目指しました。 海に近い施設では潮風や自然災害の影響を受けやすく、傷んだ飼育環境をそのままにはできません。
2023年のプロジェクト名は「カワウソ舎、なんか変えるで大作戦」です。12月26日に募集を終え、目標800万円に対し、968人から1,079万9,590円が集まりました。
使い道は、コツメカワウソと飼育員が安全に過ごせる飼育舎の整備です。 桂浜水族館は、動物の暮らしを良くすることに加え、来館者がカワウソの野生での危機を知る場所にしたいと説明しました。
桂浜水族館は、カワウソの姿から、生息地の開発や密輸の問題へ関心をつなぐ展示を目指しました。クラウドファンディングは工事費を集めると同時に、野生で起きている問題を伝える場にもなっています。
2025年1月7日の活動報告では、新しいカワウソ舎を同月2日に公開したと報告しています。募集時の使い道を、実際に公開された飼育環境へ結びつけて確認できます。
外部リンク
桂浜水族館|終了したカワウソ舎改修の募集
施設または実施主体による支援と活動の公式情報。
readyfor.jp / 外部サイトへ移動します
市原ぞうの国では水遊び場が支援された
千葉県の市原ぞうの国は、2020年10月27日から2021年1月14日まで、ゾウの水遊び場をつくる支援をCAMPFIREで募集しました。当時、1歳から42歳まで12頭が暮らしていたと説明し、子ゾウも大人も使える水場を目指しました。目標1,000万円に対して1,488人から1,521万5,500円が集まっています。
水浴びは、暑い時期に体を冷やし、泥や砂を皮膚へまとわせる行動につながります。 来館者にとって楽しい場面である一方、ゾウの暮らしに必要な設備でもあります。
公式の園内案内には、クラウドファンディングでつくられたリフレッシュ施設「エレファントスプラッシュ」が掲載されています。「水遊び場」という具体的な使い道と、完成した施設を結びつけられる事例です。
同園は、保護されたシカの生活場所「ケープの森」についても、クラウドファンディングで協力を受けてつくった施設と紹介しています。動物ごとに、どんな生活環境を整えたいかを示すことが支援への理解につながります。
外部リンク
市原ぞうの国|終了した水遊び場整備の募集
施設または実施主体による支援と活動の公式情報。
camp-fire.jp / 外部サイトへ移動します
のとじま水族館|災害見舞金と生きものの避難受け入れ
石川県七尾市ののとじま水族館は、2024年1月1日の能登半島地震で大きな被害を受けました。 館は休館し、飼育していた生きものの一部を全国の動物園や水族館へ移しています。
日本動物園水族館協会(JAZA)は、日本水族館協会(JAA)と連携して救援物資の提供や動物の緊急避難を進め、見舞金も募りました。これは返礼品付きのクラウドファンディングとは異なる災害支援の事例です。協会の案内では、当該見舞金の募集は終了しています。
この事例で目立つのは、お金と一緒に飼育の手が差し出されたことです。 停電や断水、設備の損傷があるなかで生きものを守るには、受け入れ先の水槽と飼育員が必要でした。
のとじま水族館は2024年7月20日に一部を再開し、2025年3月22日に全面再開しました。避難個体の受け入れや移送、施設の復旧には多くの館や関係者が関わっています。見舞金だけで再開のすべてを実現したと考えず、飼育の支援も含めた経過を読むことが大切です。
災害時の支援は、建物を直す費用だけではありません。 生きものを預かる館、運ぶ人、再開を待って訪れる人まで含めて、長い受け渡しが続きます。
外部リンク
のとじま水族館|公式サイト
施設または実施主体による支援と活動の公式情報。
www.notoaqua.jp / 外部サイトへ移動します
出典 「56_のとじま臨海公園・水族館」 by 石川県, Creative Commons Attribution加茂水族館では休館中の飼育を支えた
山形県鶴岡市の鶴岡市立加茂水族館は、クラゲの展示と研究で知られています。 2026年のリニューアルに向け、研究機能の強化と展示スペースの拡張を進めました。
工事で休館しても、クラゲや魚の飼育は止まりません。 水温や水質の管理、エサ、職員の作業は、来館者がいない期間も続きます。
鶴岡市は、休館中の生きものの暮らしを支える、ふるさと納税型クラウドファンディング「ツナグ∞かもすい応援プロジェクト」を実施しました。2025年1月の募集終了報告によると、目標3,000万円に対し、1,788人から4,701万2,000円が集まりました。
支援の目的には、休館中の生きものの維持管理と、リニューアル後にクラゲの展示種類を増やす準備が含まれました。 営業していない施設へお金を出す理由を、飼育が毎日続く事実から説明した企画です。
加茂水族館は2026年4月1日にリニューアルオープンしました。建物の改修事業そのものと、この募集が支える休館中の飼育・展示準備を分けて読むと、休館していても必要になる費用を理解できます。
外部リンク
鶴岡市|かもすい応援プロジェクト募集終了報告
施設または実施主体による支援と活動の公式情報。
www.city.tsuruoka.lg.jp / 外部サイトへ移動します
提供: 東北観光推進機構支援金は獣舎、水槽、再開費用へ届いた
| 施設 | 主な目的 | 集まった金額 | 支援後に見えた変化 |
|---|---|---|---|
| 魚津水族館 | 水槽などの修繕 | 36,135,540円 | 施設・設備の整備へ活用。全工事の完了は未確認 |
| 桂浜水族館 | カワウソ舎の改修 | 10,799,590円 | 2025年1月2日に新カワウソ舎を公開 |
| 市原ぞうの国 | ゾウの水遊び場 | 15,215,500円 | 動物の暮らしに使う設備を整備 |
| のとじま水族館 | 災害見舞金・飼育避難の支援 | 複数団体が募金 | 2024年一部再開、2025年3月全面再開 |
| 鶴岡市立加茂水族館 | 休館中の飼育と展示準備 | 47,012,000円 | 2026年4月にリニューアルオープン |
設備を直す企画もあれば、営業できない期間の飼育を守る企画もあります。 金額だけを比べるより、その施設がいま何に困り、支援後に何を残したいのかを見るほうが選びやすくなります。
募集理由と活動報告を読んで選ぶ
支援先を選ぶときは、使い道の具体性を見ます。 「施設のため」だけではなく、水槽の補修、獣舎の改修、エサ代など、支援後の変化が分かる説明があるかを確かめてください。
次に、募集主体と実施後の報告方法を確認します。 施設や自治体、業界団体が主体か、募集終了後に活動報告が続くかを見ると判断しやすくなります。
リターンの豪華さを基準にする必要はありません。 名前の掲載や招待券は次の来館につながりますが、返礼品のない寄付もあります。 自分が何を支えたいのかを先に決めると、金額を選びやすくなります。
ふるさと納税型は、自治体が使い道を示して寄付を募る仕組みです。返礼品や寄付の条件は、それぞれの自治体の案内を確認してください。
クラウドファンディングについてはこちらの記事もご覧ください。
募集が終わった施設も応援できる
クラウドファンディングが終わると、同じページから追加支援できないことがあります。 しかし、館を訪れる、年間パスポートを買う、ショップで商品を購入するなど、応援の手段は残ります。
公式サイトには、常設の寄付やサポーター制度が案内されている場合もあります。 災害後の館では、営業再開後に訪れることが地域での宿泊や飲食にもつながります。
過去の募集ページを読むと、その館がどんな課題を抱え、何を守ろうとしたのかが分かります。 次の来館先を探す資料としても、クラウドファンディングの記録は役に立ちます。
支援前後に確認したいこと
ふるさと納税型クラウドファンディングとは何ですか
自治体が特定の事業を示して、そこへ寄付を募る仕組みです。通常の購入型クラウドファンディングと、募集主体や寄付の手続きが異なります。控除などの取り扱いは、募集する自治体の最新案内で確認してください。
目標額に届かなかった場合はどうなりますか
目標へ届かなくても実行する方式と、達成した場合だけ実行する方式があります。 募集ページの「All-in」や「All-or-Nothing」などの条件を確認してください。
募集終了後に使い道を確認できますか
多くの募集ページには活動報告が残ります。 施設の公式サイトやSNSにも、工事の進み方、リターンの発送、営業再開のお知らせが掲載されることがあります。
募集後の変化まで見届ける
完成した獣舎や水槽は、支援が届いたことを確かめる手がかりです。一方、魚津水族館のように整備方針と個別の工事報告を分けて追う必要がある例や、災害支援のように資金以外の協力が大きな役割を果たす例もあります。募集と成果をつなぐ記録を読めば、支援を一度の数字で判断せずに済みます。
募集を知る前から好きだった館も、支援のニュースで初めて知った館も、次の行き先になります。来館、年間パスポート、ショップの利用、公式情報の共有から、続けやすい方法を選んでください。
外部リンク
魚津水族館|2025年3月の寄付への御礼
富山湾大水槽をはじめとする修繕への活用方針。
www.uozu-aquarium.jp / 外部サイトへ移動します
外部リンク
魚津市|ふるさとチョイスの募集記録
現行掲載の金額・人数は水族館の2025年1月発表と差があります。
www.furusato-tax.jp / 外部サイトへ移動します
外部リンク
桂浜水族館|新カワウソ舎の公開報告
2025年1月2日の公開を同月7日に報告。
readyfor.jp / 外部サイトへ移動します
外部リンク
市原ぞうの国|園内案内
支援でつくられたエレファントスプラッシュとケープの森を紹介。
zounokuni.com / 外部サイトへ移動します
外部リンク
日本動物園水族館協会|被災館支援の案内
のとじま水族館への見舞金募集は終了しています。
jaza.jp / 外部サイトへ移動します
外部リンク
のとじま水族館|復興の歩み
一部再開から全面再開までの経過を掲載。
www.notoaqua.jp / 外部サイトへ移動します
外部リンク
加茂水族館|かもすい通信
2026年4月1日のリニューアルオープンを案内。
kamo-kurage.jp / 外部サイトへ移動します
この記事を書いた人
ペレログ編集部
ミュージアム応援アプリ「ペレログ」を運営する、株式会社つなぐるの編集チームです。ペレログ編集部では、取材と公式発表の確認をもとに、来館のきっかけになる情報をまとめています。
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