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富弘美術館がリフレッシュオープン。開館35周年記念展と初の没入型展示

群馬県みどり市の富弘美術館が2026年8月29日に再開。開館35周年記念展「愛、深き淵より。」と初の没入型展示を、円形展示室の特徴とあわせて見ていきます。

執筆 ペレログ編集部

約6分で読めます公開 更新
富弘美術館がリフレッシュオープン。開館35周年記念展と初の没入型展示
目次

群馬県みどり市の富弘美術館が、約9か月の改修工事を終え、2026年8月29日にグランドオープンしました。開館35周年と、みどり市市制20周年が重なる年の再出発です。

再開に合わせ、開館35周年記念展「愛、深き淵より。」と、美術館で初めての没入型展示が始まりました。詩画の原画、映像空間、円形の展示室、草木湖畔の自然を行き来しながら、星野富弘さんの表現を複数の角度から見られます。情報は2026年9月1日時点です。

2026年8月29日にグランドオープン

富弘美術館は、建物と設備の改修のため2025年12月から休館していました。工事期間中は、近隣の童謡ふるさと館に「臨時富弘美術館」を設け、規模を縮小しながら複製画の展示やショップ、カフェの営業を続けました。

本館は2026年8月13日から28日まで先行公開され、8月29日にグランドオープンしました。再開当日は入館無料となり、地元の学校の子どもたちによる発表などを交えた記念行事も行われました。

今回の改修では、館内の見た目と作品を守る環境の両方が整えられました。報道によると、近年増えている大雨に備え、雨漏りやカビを防ぐことも目的でした。紙と水彩絵具を使う詩画は、水分や湿度が保存状態を左右します。

外部リンク

富弘美術館「リフレッシュオープン」

再開日、記念展、イマーシブミュージアムの公式案内

群馬県みどり市 / 外部サイトへ移動します

星野富弘さんのふるさとに生まれた美術館

富弘美術館は1991年5月12日、当時の勢多郡東村に開館しました。現在のみどり市東町は、星野さんが生まれ育った場所です。山々と草木湖に囲まれ、作品に描かれる草花と地続きの自然があります。

星野さんは中学校の体育教師だった1970年、クラブ活動の指導中の事故で頸髄を損傷し、手足の自由を失いました。長い入院生活のなかで、口に筆をくわえて文字を書き、やがて草花の絵と詩を一つの画面に表すようになります。

詩画は、細かく観察した花や実と短い言葉を一つの画面に置きます。まず植物の形や色を見て、次に詩を読み、最後に画面の余白へ目を戻すと、絵と言葉の間にある呼吸がつかみやすくなります。

美術館は作品の収蔵・展示に加え、星野さんの詩画を全国へ伝える館外展にも取り組んできました。作品を生まれた土地で見る場所であると同時に、地域の外へ届ける拠点でもあります。

外部リンク

富弘美術館「美術館の沿革」

1991年の開館と、星野富弘さんのふるさととの関係を紹介する公式ページ

www.city.midori.gunma.jp / 外部サイトへ移動します

開館35周年記念展「愛、深き淵より。」

開館35周年記念展「愛、深き淵より。」は、2026年8月29日から11月29日まで開催されます。題名は、星野さんの原点の一つとなった同名著作に由来します。

展覧会は、事故で身体の自由を失ってから、家族をはじめとする人々に支えられ、口に筆をくわえて詩画を制作するまでをたどります。苦難の大きさだけを追わず、花を見る感覚や、日々受け取った愛が表現へ変わる過程に注目したい展示です。

星野さんの作品を見るときは、制作方法に加えて、花びらの重なり、茎の曲がり方、実の色づきまで確かめてください。その観察と短い言葉が一つの画面でどう支え合うかを見ると、詩画の表現が具体的になります。

会期は11月29日までですが、展示内容や開館日は変更される可能性があります。訪問前に美術館の公式サイトで最新情報を確認してください。

円形の展示室を生かした没入型展示

今回初めて公開された「イマーシブミュージアム」は、映像・音・光で一室全体を演出する展示です。上映時間は約10分で、記念展と同じく11月29日までの期間限定です。

題材の「鈴の鳴る道」は、星野さんが車いすで散歩しながら草花と出会った場所です。映像は花の姿や光の変化を室内へ広げ、作品が生まれた風景とのつながりを見せます。

富弘美術館の建物は、シャボン玉を思わせる正方形の外形のなかに、大小33の円筒状の部屋を組み合わせています。廊下も柱もなく、角のない部屋が連続する独自の構造です。

通常の四角い展示室とは異なり、来館者は曲面の壁に沿って作品を見ていきます。壁や床の色、素材も部屋ごとに変えられ、作品に合わせた雰囲気がつくられています。一室をまるごと映像空間に変える試みは、この建築の特徴を使った展示でもあります。

外部リンク

富弘美術館「施設概要」

円筒状の33室、展示室、館内設備を紹介する公式ページ

www.city.midori.gunma.jp / 外部サイトへ移動します

作品保存と鑑賞環境を両立する建物

詩画作品は、強い光を当て続けると紙や絵具が変化するおそれがあります。富弘美術館では低い照度でも作品の色が見えやすくなるよう、照明に工夫を加えています。

円形の部屋の間に生まれる空間は小さな庭として使われ、星野さんの詩画にも登場する野の草花が植えられています。館内で作品を見た後、そのモチーフに近い草花を建物のなかや周辺で見つけられる構成です。

床は平らで、身体障害者用トイレも備えています。星野さんの表現を紹介する美術館として、車いすで移動しやすいことは鑑賞体験の中心に関わる要素です。

カフェやショップ、図書コーナーなどもあり、展示室を出た後に作品集を開いたり、草木湖周辺の景色を眺めたりできます。作品、建築、土地の自然を分けずに味わえることが、富弘美術館の特徴です。

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美術

富弘美術館

群馬県みどり市東町草木86番地

施設ページへ

改修後にまず見たい三つ

最初に原画の植物と文字を近くで見て、次に円形の展示室を歩き、没入型展示で「鈴の鳴る道」の風景を確かめる。この三つをつなぐと、作品、建築、土地が別々の見どころではないことが分かります。

改修は作品を守る環境を整え、没入型展示は初めて見る人の入口を増やしました。どちらも、星野さんの詩画を次の世代へ手渡すための仕事です。

記念展では原画を一作選び、植物の形、言葉の置き方、余白を順に見てみてください。そのあと映像展示と草木湖畔の風景へ目を移すと、同じ植物が作品の内外でどう見えるかを比べられます。

詩画は余白から見る

花や実の形と短い詩の間には、大きな余白があります。文字だけを先に読まず、植物、言葉、余白の順に視線を動かすと、同じ作品でも読む速さや立つ位置で印象が変わることに気づけます。

記念展の題名「愛、深き淵より。」は、星野さんの歩みをたどる手がかりです。同時に、描かれた植物の季節、筆の運び、文字の配置を造形として見ると、経歴の説明に収まらない詩画の面白さが見えてきます。

没入型展示では、映像のもとになった作品や風景を探してください。先に原画を見てから体験し、もう一度原画へ戻ると、拡大された花や光が一枚の画面でどんな役割を持っていたかを比べられます。

大小33の円筒状の部屋は、次の展示を一度に見通せない構造です。曲面に沿って進み、部屋ごとに変わる壁や床、光を確かめると、建築が作品と出会う順番をつくっていることが分かります。

この記事を書いた人

ペレログ編集部

ミュージアム応援アプリ「ペレログ」を運営する、株式会社つなぐるの編集チームです。ペレログ編集部では、取材と公式発表の確認をもとに、来館のきっかけになる情報をまとめています。

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