船の博物館おすすめ8選。保存船に乗れる全国のエリア別ガイド

1988年3月13日、青函連絡船は80年の歴史を終えました。 その最終日まで走っていた船が、いまも青森と函館の岸壁に係留されて保存・公開されています。
船の博物館とは、実際に使われた船をそのまま保存公開する施設や、海運・造船の歴史を伝える施設のことです。 この記事では、函館から呉まで、全国の船・海事ミュージアム8館をエリア別に紹介します。
このジャンルの面白さは、展示物の上を歩けることにあります。 操舵室に立ち、機関室をのぞき、狭い階段を降りていきます。船という乗りものの窮屈さと合理性を実際に体感することができるのが魅力です。
ミュージアム応援アプリ「ペレログ」では、訪ねた記録がそのまま施設への応援につながります。 記事の後半では、閉館してしまった船の博物館についても触れています。

迷ったら「船に乗れるか」で選ぶ
船をテーマにした施設は、実際の船を保存公開しているミュージアムと、陸の建物のなかで海運や造船の歴史を見せるミュージアムに分かれます。 この記事で紹介するミュージアムは、保存船が5つ、陸の博物館が3つとなっています。
保存船の魅力は、設計した人が想定した動線をそのままたどれることです。 船室の天井は低く、階段は急で、通路はすれ違うのがやっとという幅しかありません。この窮屈さは、写真や図面ではまず伝わりません。
いっぽう陸の博物館は、一隻では語れない大きな流れを見せてくれます。 港がどう機能しているのかも、造船の技術がどう変わってきたのかも、模型と資料のほうがずっと伝わりやすいのです。
どちらか一方に絞る必要はありません。 横浜や呉のように、保存船と陸の館が歩いて回れる距離にそろっている街もあります。
ペレログに掲載している海事系の館は、博物館のページから探せます。
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北海道・東北の船の博物館
青函連絡船は、1908年から1988年まで、青森と函館のあいだで人と貨車を運び続けました。 その最終日まで運航していた2隻が、いまも両岸に残っています。
函館市青函連絡船記念館摩周丸(北海道・函館)
摩周丸は1965年に就航し、1988年3月13日の廃止まで津軽海峡を往復しました。 1991年から公開が始まり、2003年に現在の名称になっています。
見どころは、現役当時のまま残されたブリッジと無線通信室です。 計器も椅子も配置が変わっていないので、航海士が座っていた場所に自分が立つことになります。海峡の天候をここで読んでいたのだと思うと、窓の外の景色が違って見えてきます。
函館駅からすぐの旧函館第2岸壁にありますので、朝市や元町の散策をしてから訪れても良いかもしれません。
青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸(青森・青森)
八甲田丸は1964年に就航し、摩周丸と同じ最終日まで、23年あまり走り続けました。 1990年から展示施設として公開されています。
連絡船は、貨車を線路ごと船に積み込んで運んでいました。 八甲田丸ではその仕組みを船の内部で確かめられますので、鉄道と船がひとつながりだった時代の輸送が実感として分かります。
摩周丸とセットで訪れることをおすすめします。
関東の船の博物館
横須賀と横浜には、全く役割の異なる保存船が3隻あります。 いずれも駅から歩ける距離にありますので、一日で複数を見て回ることもできます。
記念艦三笠(神奈川・横須賀)
1902年にイギリスで造られた戦艦で、日露戦争の日本海海戦では連合艦隊の旗艦になりました。 1926年から記念艦として保存されていますが、戦後は荒廃し、解体の話も出ていたそうです。 いまの姿があるのは、1961年の復元工事のおかげです。
京急の横須賀中央駅から徒歩15分ほどの、三笠公園のなかにあります。 公益財団法人の三笠保存会が運営し、歴史遺産として広く公開することを目的に掲げています。
帆船日本丸・横浜みなと博物館(神奈川・横浜)
1930年に造られた練習帆船で、1984年に引退するまで半世紀以上、船乗りを育て続けました。 いまはみなとみらいの石造ドックのなかに、そのままの姿で係留されています。
甲板に上がると、マストを支える索の多さに圧倒されます。 年に数回、すべての帆を張る総帆展帆が行われる日があり、そのときの姿はまったく別の船に見えます。 隣の横浜みなと博物館では、横浜港がどう作られてきたかを資料でたどることができます。
桜木町駅から徒歩5分です。 みなとみらいの散策とあわせて訪れてはいかがでしょうか。
総合
神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目1-1
- 開館
- 10:00–17:00(最終入館 16:30)
情報の取得日 2026-08-11(最新の情報は公式サイトでご確認ください)
日本郵船氷川丸(神奈川・横浜)
山下公園の前に係留されている、1930年進水の貨客船です。 シアトル航路で太平洋を254回横断し、2016年には国の重要文化財に指定されました。
見どころは、一等社交室や食堂といった客室まわりです。 アール・デコの装飾がそのまま残っていて、船というより当時のホテルを歩いているような気分になります。 その一方で、機関室に降りると巨大なディーゼルエンジンが据えられていて、この音と振動の上にあの社交室が乗っていたのだと気づきます。
みなとみらい線の元町・中華街駅から徒歩3分です。
中部の船の博物館
海王丸パーク(富山・射水)
日本丸の姉妹船にあたる練習帆船が、富山湾に面した公園に係留されています。 1930年に神戸で進水し、59年の現役期間で11,190名の実習生を育てました。
「海の貴婦人」と呼ばれる白い船体の向こうに、立山連峰と新湊大橋が重なります。 船内は現役当時の姿に整えられていて、実習生が使っていた居住区まで見て回れます。
万葉線の海王丸駅から徒歩10分ほどです。
近畿の船の博物館
神戸海洋博物館・カワサキワールド(兵庫・神戸)
メリケンパークに立つ、帆と波をかたどった白いフレームの建物が目印です。 1987年に開館し、2006年からは館内に川崎重工業の企業ミュージアム「カワサキワールド」が入っています。
海洋博物館側では、神戸港がどう築かれ、どう使われてきたかを模型と資料でたどります。 カワサキワールド側には0系新幹線の先頭車やヘリコプターの実機が置かれていて、船から鉄道、航空まで川崎重工の歴史が並びます。 乗りものをまたいで見たい人には、おすすめの展示です。
神戸市営地下鉄海岸線のみなと元町駅から徒歩10分ほどです。 港の景色を眺めながら歩ける立地ですので、夕方に訪ねるのもおすすめします。
科学
兵庫県神戸市中央区波止場町2-2 2F
- 開館
- 10:00–18:00(最終入館 17:30)
情報の取得日 2026-08-11(最新の情報は公式サイトでご確認ください)
中国地方の船の博物館
大和ミュージアム(広島・呉)
正式には呉市海事歴史科学館といいます。 2005年に開館し、2025年1月から1年以上をかけた大規模改修を経て、2026年4月にリニューアルオープンしました。
象徴となるのは、全長26.3メートルの10分の1戦艦「大和」模型です。 10分の1という縮尺は、模型というより一隻の船として目に入る大きさです。ほかに零式艦上戦闘機の実機、戦艦「陸奥」の主砲なども展示されています。
この館は、呉という街が造船と製鋼で成り立ってきた歴史を伝えることを主眼にしています。
JR呉駅から徒歩5分ほどで、すぐ近くには海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」もあります。 こちらは退役した潜水艦「あきしお」の内部に入れる施設で、入館は無料です。
いまは見られなくなったミュージアムについて
東京・品川の船の科学館は、2011年に本館の展示を休止し、建物は2024年に解体されました。 ただし、初代南極観測船「宗谷」の公開は続いています。1938年に造られたこの船は、1956年からの南極観測で6回にわたって氷海へ向かいました。乗船は無料です。
横浜の日本郵船歴史博物館は、2023年4月から休館しています。 再開発ビルへの移転にあわせて「日本郵船博物館」と名前を変え、2027年春以降のリニューアルオープンを予定しています。氷川丸は同じ日本郵船の運営で、こちらは通常どおり公開されています。
海に浮かべたまま残すのは、実は難しい
保存船は、屋根の下の展示物と事情がまったく違います。 船体は海水に浸かり続けますので、塗装が切れれば錆が進みます。 定期的に塗り直し、船底を点検し、係留設備を維持しなければなりません。そのどれにも費用と技術者が要ります。
日本丸や海王丸が、いまも帆を張れる状態で残っているのは偶然ではありません。 係留したあとも手を入れ続けてきた人たちがいたからです。 船の科学館の本館が解体された経緯を見ても、残すという判断がどれほど重いかが分かります。
入館料を払って訪ねることは、その維持費のごく一部を支えることでもあります。 ペレログのスタンプ帳に記録が増えていくことは、その館に人が来ているという事実を残すことでもあります。年に数館のゆっくりしたペースで構いませんので、1度訪れてみませんか。
よくある質問
実際に船に乗れる(船内に入れる)のはどこですか?
この記事で紹介した8館のうち、摩周丸、八甲田丸、記念艦三笠、帆船日本丸、氷川丸、海王丸は船内を見学できます。神戸海洋博物館と大和ミュージアムは陸の博物館です。東京の南極観測船「宗谷」も乗船できます。
無料で見られる施設はありますか?
海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」と、南極観測船「宗谷」は入館・乗船が無料です。ほかの館は有料ですが、施設によって割引や共通券が用意されていることがあります。
雨の日でも楽しめますか?
船内の見学は屋根の下ですが、甲板と乗降口は雨に濡れる施設が多いです。
次の週末、甲板に立ってみる
2026年8月のサービスインに向けて、ペレログは準備を進めています。 訪ねた記録が、そのまま全国のミュージアムへの応援になります。
まずは行きやすい一隻から、最初のページを開いてみてください。 鉄道や航空をテーマにしためぐり方も、あわせて紹介していますので、ぜひご覧ください。

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