北海道から新種の鎧竜「ニッポノペルタ」。30年前の化石をCTで読み直す
夕張市で1995年に見つかった化石が、日本初の鎧竜の新属新種「ニッポノペルタ・エゾエンシス」と判明。標本の保存とCT解析が開いた、約1億年前への入口をたどります。
執筆 ペレログ編集部

目次
北海道夕張市で1995年に見つかった恐竜化石が、約30年を経て新属新種の鎧竜と判明しました。名は「ニッポノペルタ・エゾエンシス」。北海道大学などの国際研究チームが、2026年8月21日付の学術誌『Cretaceous Research』で発表しました。
新種発見の舞台になったのは、発掘現場だけではありません。収蔵された標本を保ち、技術の進歩に合わせて読み直せる状態にしてきたミュージアムと研究機関も、発見を支えています。
「日本の盾」と名付けられた鎧竜
化石は、およそ1億年前の白亜紀前期末にあたる地層から見つかりました。頭骨、椎骨、四肢骨、体を守る皮骨などが残り、アジアでは珍しいノドサウルス科の特徴を示します。
属名のNipponopeltaは「日本の盾」、種小名のyezoensisは北海道の旧称「蝦夷」にちなみます。国内で鎧竜に新しい属名と種名が付いたのは初めてです。日本で命名された恐竜としては14例目、北海道では3例目になりました。
外部リンク
北海道から新属新種の鎧竜化石を発見
北海道大学の研究成果発表
www.hokudai.ac.jp / 外部サイトへ移動します
CTが、岩の中の骨を読み解いた
研究チームは標本をあらためて観察し、X線CTで内部の形を撮影しました。画像上で骨と周囲の岩石を分ける「デジタルクリーニング」により、物理的に削るだけでは確かめにくい頭骨の形も検討できました。
新しい機器が登場すると、過去の標本から新しい情報を引き出せます。ただし、そのためには産出地点や地層、標本の来歴が記録され、比較できる状態で残っていなければなりません。収蔵庫は研究が終わった物をしまう場所ではなく、次の問いを待つ場所でもあります。
一つの化石が、鎧竜の移動史を変える
ニッポノペルタの特徴をほかの鎧竜と比べると、ノドサウルス科は一度だけではなく、複数回にわたってアジアへ進出した可能性が見えてきました。海岸に近い環境で暮らしていたことが、分布の広がりに関係した可能性も検討されています。
新種という呼び名は結論であると同時に、比較研究の出発点です。近縁種との違い、当時の環境、どのように大陸間を移動したのか。標本が残っているからこそ、別の研究者が検証を重ねられます。
外部リンク
Cretaceous Research掲載論文
ニッポノペルタ・エゾエンシスの記載論文
doi.org / 外部サイトへ移動します
実物を見る前に、展示情報を確認する
研究には北海道大学総合博物館や三笠市立博物館などが関わりました。ただし、今回の発表資料では化石の常設展示や公開開始日は案内されていません。標本を目当てに訪れる場合は、各館の公式サイトで最新の展示情報を確認してください。
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展示で恐竜化石を見るときは、骨の形だけでなく、いつ発見され、どの技術で調べられたかにも注目してみてください。一点の標本に積み重なった時間が、新種発見までの道のりを教えてくれます。
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